スカイザバスハウスで大庭大介さんの個展を観て来ました。
今まで偏光パールの絵の具を使って見る角度によって色が変わるような作品を作っていた大庭さんが、ホログラム系の顔料を使うことによって新たなタイプの作品を作ってきたという印象でした。今までは、光り方も含めて優しい感じの作品の印象があったのですが、今回は金属のような力強さを感じました。
今までは、これほどエッジの立った筆の動きがわかるような力強さはなかったので、新たな作品の方向性にいろいろな表情が加わり作品の幅が一気にものすごく広がったような気がします。
今回はさらに色のないような作品もあったりして、これからどんなものを作っていくのか楽しみになる個展でした。
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大庭大介 個展
愛☆まどんな「曖昧なUミーハーな愛」
愛☆まどんなさんの個展「曖昧なUミーハーな愛」をAWAJI Cafe and Galleryで観てきました。
POPな美少女の絵なんですが、クールな青だけの絵画でした。絵だけでもいい感じなんですが、その絵からはみ出す形でインスタレーションされていたというか、そういう会場構成になっていて絵画同士が繋がっているような面白い見せ方でした。
美少女はもう書き慣れている感じで、愛まどんなさんの作品だなというのがすぐにわかるので、そこから先にどういう風になっていくのかな?と思ったりしたのですが、やはり1番大きな絵はなかなかでこれから大きい絵もどんどん作っていくのかな?と思ったりしました。絵画が繋がっているのもそれの布石に思えたりしました。まだ買えるレベルの値段なので、お買い得な気がしました。
小泉明郎展「帝国は今日も歌う」
小泉明郎さんの「帝国は今日も歌う」を原宿のVACANTで観てきました。
GWを含む9日間のみの会期なので、見れない人も結構いるかもしれませんが、思った以上に混んでいて注目度の高さが伺えました。
私の夢も帝国に侵されたことがあります。というサブタイトルの通り、そのようなところから語りがスタートしますが、父が権力に連れて行かれる不安のようなものや、力や思想によって弾圧されるようなもの、それを見ようとしない外枠の人々のようなもの、それらの中を連れて行かれるような、夢のように進んで行く映像でした。
結局のところこれを伝えるというようなものとは少し違った現在の空気をアートという形に封入して、それを長い時間いろいろな場所で再現できるようなものであるような気がしました。不安と権力と力と思想の混じり合ったものが圧倒的に迫ってくるようなものでした。国立や都立の美術館とかでは見れなさそうという話があるのも納得できるような気がしてしまうほど、強度のある映像でした。
現代企画室 (2015-06-20)
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坂茂「プロジェクツ・イン・プログレス」
坂茂さんの「プロジェクツ・イン・プログレス」をギャラリー間で観てきました。
坂茂さんの現在進行中のプロジェクトについての展覧会です。やはり坂さんという感じで木で組んだようなものが多いですね。なかでも、2017年パリ近郊、セガン島にオープンする「ラ・セーヌ・ミュジカル(La Seine Musicale)」がメインでこういう建築を作らせたら坂さんだなという印象があります。
隈研吾さんとかも木を使うけれども、どちらかというと和の要素だったり、独特なデザインとしての木の使いかたを感じるのですが、坂さんの場合は、もっと必要性のようなものを感じます。やはりそのあたりは紙の建築や仮設住宅等の考え方が反映されているのかなと思います。
実寸大のパーツと模型を含めた展示であまり派手な印象はない坂さんですが、プリツカー賞を受賞したあたりからなにやらいろいろ大きなプロジェクトをやるようになってきているんじゃないかなと思いました。(私が全然しらないだけという気もしますが・・・)
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多田圭佑「forge」
多田圭佑さんの「forge」をMAHO KUBOTA GALLERYで観てきました。
一見、木の上に書かれたペインティング的なものに見えるのですが、ステイトメントをじっくりと読んでみると、
しかしここで目の前に展示された「床板」が木材ではなく、<実はアクリル絵具とメディウムという純粋な絵画素材のみで出来上がっているペインティングだという事実>が伝えられたとしても、鑑賞者の多くは「本当に?」と問い返さずにはいられないことでしょう。
とされていて、実際そうなったんですが、ここまで本物と見分けがつかないと意味がないんじゃないかというレベルでしかし、確実にペンティングなのでしょう。
「捏造」されたスーパーリアルな視覚情報の上にアンフォルメルやアクションペインティング、あるいはグラフィティなどにつながる身体感覚を伴う絵画表現が展開される「trace/wood」のシリーズ。あるいは、古典的な手法で一旦完成させた静物画を凍結し、解凍ののちに再生させる「残欠の絵画」シリーズの手法など、多田圭佑の絵画では異なる幾つかの表現のレイヤーを重ね、対立させ、干渉させることによって、ノイズや時間の歪みを呼び起こす試みがみられます。
とあるように、確かに何かが対立しそこに生まれる違和感や、不思議な感じがすべてのものから感じられると思いました。そして、どのような手法でそれが作られたのかがわかったとたんに作品が強烈なインパクトと強度を持ち始めるように思えるのが面白かったです。
「水の三部作 2」アブラハム・クルズヴィエイガス展
「水の三部作 2」アブラハム・クルズヴィエイガス展をメゾンエルメスで観てきました。
正直なところよくわからなかったんですが、展示方法は綺麗でさすがエルメスでやるアーティストだなというところはありました。メゾンエルメスでやるアーティストはある程度クオリティーが担保されているというか、そんな気がします。
東京を表現しているというか、東京から得られたインスピレーションという形で作られているようですが、メタボリズムとかイサムノグチとか北斎とか今の東京ではないかなぁという感じもしつつ、まあメタボリズムと言われれば最初にみた新聞紙の構造体はメダボリズムっぽいといえばぽいが、きっと会期も後半になると蔦が絡まって緑になりそうな予感だけしました。このごちゃごちゃのいろいろなメディウムが混ざっているのが東京なのだろうか。
とにかく何がなにやらで三部作の真ん中だけしか見れないわけですが、ウーパールーパーとかはメキシコの文化なのかな?そのミクスチャー具合とか誰か紐解いて、この展覧会の見方を教えてください。苦笑
Walker Art Center
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高橋大輔 中村太一 今野健太
高橋大輔さん、中村太一さん、今野健太さんのGallery Show -After Fair-をアルマスギャラリーで観てきました。
2つのフェアに向けて制作された新作をふくむグループ展ということなんだけれども、なんとなくイメージで言うとフェアで売るんだから、その作家のいわゆる売れそうなど真ん中の作品を展示して売るのが一般的なのかなと思っていたのですが、この3作家さんたちは逆に安定したものではなく意欲的に新たな手法を出しているところが攻めの姿勢で良いなーって思いました。
スピード感のある水彩のイメージがあった中村太一さんが油彩で重みがありながらもスピード感があるままに書いている感じとか結構これから面白そうに感じたり、
高橋大輔さんとかは、あの絵の具を重ねて彫刻しているようなスタイルを圧縮したようなスタイルになって変わっていたり、
今野健太さんは、ブロンズとか大理石ではない石を使った作品を作っていたり、と新たな作品を全員が提示していたので、作家さんのステップがみれるという意味でなかなか面白いと思いました。個人的には中村太一さんの油彩が結構気になるなー。Radioheadのジャケットとかになりそうな雰囲気を持っている感じとか、なんとなくストリートのスピード感を感じさせるタッチとか。まあ、自分の好みの方向に変わるとか、変わって欲しいとかではないけど、これから楽しみな感じです。
今井俊介「float」
今井俊介さんの「float」をHAGIWARA PROJECTSで観てきました。
最近は布とかに印刷されていたり、KAATのロビーとかに巨大な動画を投影する作品をつくったりしていた印象のある今井俊介さんですが、今回は一転して元々の今井さんのスタイルに戻って作品を作っている印象で。コレコレと思わず思ってしまう感じでした。
この平面と立体が入り混じったような、空間の作り方のうまさというか、構図のうまさというか、色や形のバランスの良さというか、そういうものが観て取れて面白かったです。やっぱいいんだよなぁ。Spring Feverの小さい作品買いだったかなぁ。
ちなみにプレスリリースにはこんな感じに書いてありました。
今回の展覧会では、原点である平面作品に立ち戻り、新作のペインティングを発表します。 精密な筆使いにより画面の強度が高められた作品は、平面性をより強く感じながらも彩度や明度を意識した絶妙な色の選 択と構図のバランスや歪みによって、観ることの不確実性と新鮮なイリュージョンを鑑賞者にもたらします。
ジョージェ・オズボルト「For better or worse」
ジョージェ・オズボルトさんの「For better or worse」をTARO NASUで観てきました。
小人たちがよくわからないアートを観ながら、それをアートとしてみているような、複雑な構造をPOPにまとめてしまっているような展示でした。小人や動物たちが興味深げにペインティングを観ているんだけど、そのペインティングが難解な感じという。なかなか面白かったです。
奥の方には日本の根付に着想を得た彫刻作品とかがありましたが、やはり手前の小人たちの作品がインパクトがありすぎて印象が弱く感じてしまったけど、面白い展覧会でした。
Hauser and Wirth Publishers