スカイザバスハウスで大庭大介さんの個展を観て来ました。
今まで偏光パールの絵の具を使って見る角度によって色が変わるような作品を作っていた大庭さんが、ホログラム系の顔料を使うことによって新たなタイプの作品を作ってきたという印象でした。今までは、光り方も含めて優しい感じの作品の印象があったのですが、今回は金属のような力強さを感じました。
今までは、これほどエッジの立った筆の動きがわかるような力強さはなかったので、新たな作品の方向性にいろいろな表情が加わり作品の幅が一気にものすごく広がったような気がします。
今回はさらに色のないような作品もあったりして、これからどんなものを作っていくのか楽しみになる個展でした。
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大庭大介 個展
宮島達男「LIFE (complex system)」
宮島達男さんの「LIFE (complex system)」をSCAI THE BATHHOUSEで観てきました。
まあ、いつも通りだなといえばいつも通りなのですが、池上さんと組んで作ったカウンターを今回も使ってさらに額に入れることで生命のカウントが何かの世界の中に収められている感じがありました。
ステイトメントにはこんな感じで書いてあります。
新作シリーズ《Life (Complex System)》(生命:複雑系)は、ステンレス製ケースのなかに配したIKEGAMI Modelのデジタル カウンター(ガジェット)とそれを結ぶ電子回路で構成され、あたかも人工生命が「孵化器」のなかで息づくように、LEDのまたたきに人工生命の静かな呼吸が託されています。生命の宇宙に接続したこれらのガジェットは、光の三原色によるさまざまな 個性の輝きとなって顕現し、やがて「0(ゼロ)」を刻む一瞬、闇に伏します。死を意味するこの暗闇もしばしの休息にすぎず、光はまた立ち上がりカウントをはじめる ー それは仏教における輪廻転生の教えでもあります。半永久的な反復を可能にするLEDテクノロジーは、複雑系の学説や宗教観のうちに結びつき、複雑な世界に開かれた生命の神秘を解き明かしながら、永遠につづく時間の流れを示唆しています。
また、香港の世界貿易センター(ICC)を流れ落ちる数字の作品も、小型化して作品になっていたのですが、個人的にはこれは巨大だからよかったと思っていて、小型化してしまうと実際のデジタルカウンターでない理由がよくわからないというか、電光掲示板でデジタルカウンターをわざわざ表示して落としているのがイマイチで、大きければいいのになと思ったりしました。やはりあれは大きくて完成していた気がします。
とはいえ、宮島さんの新作展なかなか面白かったです。
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和田礼治郎 / アリエル・シュレジンガー
和田礼治郎 / アリエル・シュレジンガー 展をSCAI THE BATHHOUSEで観てきました。
2人の作家の展示だったのですが、日本人とイスラエル人の作家でどちらもベルリンで活動をされている方々の作品だそうです。最初に目に付いたのはやはり真鍮の大きな腐食している作品でそれ自体の腐食が進行していくことで作品が変容していくのだなーなるほどなー。
などど、気軽に見ていたわけなんですが、気が付いたらその横に火のついたガスバーナーがガスボンベに向けられていて焼けているという作品があり、これを見つけた瞬間から一気に空間に対する緊張度が変わりました。ギャラリーの中じゃなければ間違いなく火を止めるか、走って逃げてもおかしくない状態。しかし、ギャラリー内で作品とわかっているから見ているが、それにしても緊張感が走りました。
こういう緊張感は実際日本ではわからないですが、イスラエルの作家が作ったとなるとこの緊張感により表したいことがいろいろわかるような気がしました。目の前にあるものや、その作り、システムそれ自体にいつ火がつくかわからないという爆発寸前の緊張感の中で生きるということの一端を感じれた気がしました。
その他にも頭蓋骨を反転させることで生と死の反転を考えるようなものとかを作っている面白い作家さんだと思ったのですが、とはいえ、ガスバーナーを見た後はそれが気になってそれに全て持って行かれた感がありました。これは現地のその空間でみれてよかったです。体験しないと言葉にしても何もわからない、伝えられない作品でした。
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「Beyond」展
「Beyond」展をスカイ・ザ・バスハウスで観てきました。
震災の影響なのかグループ展のような物が多いですね。基本的にテーマがなくて震災の為アーティストが来れなくなって、グループ展となっているようなタイプのグループ展は取り上げていないのですが(何て感想を書いていいかよくわからないので。)、ここは「Beyond」というタイトルをつけてコンセプトありで、しかも有名作家をとりあげていたので、面白かったです。
アート、あるいは美術という仕組みの中にはコンセプトやルールのようなものは確かに存在しますが、それを操る創造の言語は一般的な概念を軽々と超越していきます。鑑賞者との距離をはかるように近づいたり、離れてみたり、行ったり来たりする・・・。作品とのそのような対話の中で、アーティスト達の様々な創造言語が、限りなく広がりを持つものであると感じさせられることでしょう。
名和晃平さんは、未発表作のドローイングシリーズ Line-Fragment を展示していたのですが、最初これが誰の作品かわかっていないで良いなーと思ってみていたのですが、わかった時にちょっとビックリしました。普段の名和さんの作風とちょっと違っているような気がしましたが、クオリティが高くて観ていて飽きないです。
イェッペ・ハインの作品は、前におそらくSCAIで観ていたのでそれほど驚きはなかったですが好きですね。嵯峨篤さんの作品もただただ鏡面のように黒い作品も好きです。中西 夏之さんの増殖していく細胞のような作品も独特の空気感がありますし、川上 幸之介さんの作品は特殊な描きかたをしていそうな特殊な絵のように思えました。そしてブライアン・アルフレッドさんのデジタル化したような何かを省略して平面化してしまった空間のような作品もかなり良かったです。こういう作品はホワイトキューブの中で観るよりも家とかでみると窓として切り取られている先がデジタルの空間として機能しそうなので、また印象が変わってきそうですが、そこがかなり面白く好きなタイプの作品でした。有名どころも集まっているし、名和さんなどはMOTで大規模個展も行われているのでそのあたりと絡めてみるのもかなり面白いかもしれません。
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安部典子「TIME LAG」
安部典子さんの「TIME LAG」をSCAI THE BATHHOUSEでみてきました。
幾重にも重なった紙を切り抜くことで、地層の様な重なりをみせている作品なんですが、「TIME LAG」というタイトルを聞いてからみると、あたかも瞬間を切り抜いて堆積させた時間を物体化した様にもみえてきて、地層の重なりのような等高線を立体化した造形としてみるだけでなく、別の側面からもみれることで面白くみえてきます。
時間という側面からみれば、温河原さんの時間の作品の作品集を切り抜いて堆積させた作品もあったので、今回の作品が時間の側面からの影響をより強く意識した作品であることを感じさせました。時間というものをまるで物であるように捉えて彫刻として作品化しているようにも見えました。その1枚1枚の紙には時間や記憶が刻まれているとも思えて記憶の断片をみているようにも捉えられました。ただ単純に造形としてみるだけでも面白いし、存在感があって美しいものとしてみれるのですが、その物としての重みや美しさを時間と重ねても非常に面白く見れました。
最近の話では、21_21DesignSightでやった吉岡徳仁キュレーションによる「セカンドネイチャー展」でも作品が出ていたみたいなので、(自分は言われて思い出した。)どこかで見ていたような気がしたのでそこでだったようでした。
アニッシュ・カプーア
SCAI THE BATHHOUSEでやっていたアニッシュ・カプーアを観て来ました。光をうまく使った作品ですね。ただ、光といっても光源を使ったような光ではなく光の反射とか鏡のような光の使い方ですね。美しい形状のものに移り込む景色が今までに見た事の無い光景になると言うような作品だったという感じでしょうか。
この人は金沢の21世紀美術館で暗闇の中の傾斜に穴なのかそうでないのか?というような作品をつくってたりしますね。やはりそのあたりから考えても光を利用した目の錯覚のような作品を多く作っているのかもしれません。
とにかくここにあった作品はそのもの自体も美しいと思えるようなものなんですが、そこに移り込んだ時に2mくらいあるような皿のような形状のものの視界一杯に自分の目が移り込んだりするのは体験しないとわからないですね。
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