Posts Tagged ‘森美術館’

N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅

N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅を森美術館で観てきました。
 

 
森美術館でインドのアーティストというのを何人か見ていると思うのですが、共通して、いろいろな人種がでてきたり政治的な動きをしているという印象があって、これは森美術館が選んでいるからこうなるのか、インド人のアーティストがそういう方向なのか、わからないですが、N・S・ハルシャも真面目なアーティストで、いろいろな人種や政治的なことがらをモチーフにしている印象でした。
 


 
それに加えて、モチーフとして出てくるのかミクロな視点とマクロな視点を中心として捉えた絵画が大半の作品をしめているという印象でした。繰り返しのモチーフの中に微妙な違いがあり、そのなかに様々な人(有名なキャラクターや、有名なアーティストなど)がいろいろなストーリーを作りながら作品を作っていて、時には自爆テロのようなモチーフもあったりなど、読み解きやすくもしっかりとしたテーマを扱っている感じでした。
 

 
子供達とのワークショップのような作品とか社会とのつながりもある作品もありましたが、やはり一番印象的だったのは、巨大な宇宙のような一筆書きのような作品で、マクロ視点とミクロ視点を繰り返しを使わずに巨大作品として成立させていました。やっぱりこれだけ大きいと迫力がありますね。
 


 
テーマとしては難しいテーマかと思いますが、作品を読み解くという意味では分かりやすく入りやすい作品が多かったので、見やすい展示でした。
 


 

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村上隆「五百羅漢図展」

久々にブログを復活させてみようとか思う。といっても、これを書くのもすごく時間がかかってしまったんだけど。まあ、なんか雑記みたいなものなので、誰がみてるかよくわからないけれども。それなのに書こうかなと思ったのは、日本での展覧会なんかもう二度とないと思っていた村上隆さんの展覧会が開かれているから。奇跡的とも言っていいことで、僕は絶対にないと予想していたので、カタールまでいって五百羅漢図をみたのが、四年前のことかな?
 
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その五百羅漢図がまさかの完全公開ということで、あれ?カタールまでいかなくても良かったかな?何て思ったりもしたけれども、行ってみて思ったのがカタールのやつは比較的回顧展的なもので、過去の作品もたくさんあったんだけど、今回の森美術館での五百羅漢図展はほとんどが新作のみで構成された展覧会でした。それにしてもカタールでみた五百羅漢図は完成してお披露目されてるし、カタールの最後でまだ白い模型のようだった彫刻も近色になって登場してた気がしました。(別の作品だったかも?カタールの最後の部屋がうろ覚え。Murakami EGO読まないとな。苦笑)
 
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森美術館によく行ってる人はわかってもらえるとおもうんですが、ここ三、四年の作品だけで森美術館をいっぱいにできる作品数や大きい作品があるということだけでもすごいです。しかも、New YorkのGagosianでやった個展の作品はほとんどはいっていないんじゃないかという。(余談だけど、Gagosianでやった時の山門をみたかった。)とにかく圧倒的な製作スピードであることが容易にわかるし、作品のクオリティーも高く、今後の展開も期待させる素晴らしい展覧会でした。(まあ、その背景にはブラック気味な血の滲むような製作があるわけだけれども)
 
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五百羅漢図を中心に構成されていて、その背景の文脈や流れや製作方法まで展示されていて、雑誌の企画での辻惟雄さんとのやりとりの中から五百羅漢図までたどり着くまでの作品や、ベースとなる狩野一信の五百羅漢図も展示されているという丁寧さ。普段文脈など気にしないでみている日本の人達にこんなに丁寧にわかりやすくしてくれるとは、と思いつつも、それだけでは部分であるというのも事実。
 

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作品を見ればわかることだけれども、マクロでみてもミクロでみてもどこかに面白さがあり、飽きさせないための出来事がある感じなので、全くその絵を完全に見れた気がしない。じっくりと何時間もみることでやっと把握できるようになるのかもと思うほど。とにかく書き込んでいる。たくさんのフックがあるというすごい熱量の作品なのだが、それが普通であり、それを大量に作っているのだから、昔の作品をみて批判している人たち見た方がいいよという感じ。
 
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だいたい批判的な人達はlonesome cowboyあたりで止まっているわけで、いつの作品だよという気がしてしまうわけです。今のRadiohead評価するのにbendsがあんまり良くないとか言われてもな。みたいな。とはいえ、DOB君とかも登場していて原形がないくらいに変化していまっているものの昔からの面白さもあって楽しかった。
 
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たしかにアニメやオタク文化をベースに使っているけれども、もはやそれだけではないし、仏教とか日本画とか大きく日本文化に接続するようになった作品達はもはや圧倒的といっていいと思います(まあ、村上さんはもともと日本画科でてるはずだけれども)。そして最後にかなりの人が馬鹿といわれてしまうのだけれども。それもまた村上隆さんだなという印象。とにかく流石世界で評価されているアーティスト。好きであろうが無かろうが見もせずに批判はできないし、アーティストなら見るべきではないかと思います。もう二度と日本での展覧会はないかもしれないので、必ず見るべき、つまり必見の展覧会でした。
 

 


 

村上隆の五百羅漢図展

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MAMプロジェクト014:田口行弘 《パフォーマティブ・ヒルズ》のためのパフォーマンス

「フレンチ・ウィンドウ」展を見たあとに、一緒に併設でやっていたMAMプロジェクト014:田口行弘 《パフォーマティブ・ヒルズ》のためのパフォーマンスを観てきました。
 

 

 

 

 
静止画に、なにやら通常とは違う要素を加えて連続させることで完成する動画の作品を作っている田口行弘さんの展示がありました。前にもSNACαMで観たことがあって、今回は誰なのかしっかりわかりつつ行って面白さが徐々にわかってきた気がします。そして一見ある風景の中にある異世界の連続動画というものが絶妙に現実と非現実の認識の中間にある感じが良いですね。今回はその制作風景や、太鼓と一緒にやった作品、六本木ヒルズでやった作品、広島でやられた作品などがあって、外国での作品が多いとSNACをみて思っていたので、知っている場所で行われているということでより面白く感じれました。特に六本木ヒルズのまさにその場所で行われたものに関してはなかなかその空間との映像との狭間のように感じれる仕組みは面白かったように思えてより一層楽しむことができたと思います。
 
 

「フレンチ・ウィンドウ」展

「フレンチ・ウィンドウ」展を森美術館に観に行きました。
 

 
今回の展示のコンセプトがタイトルだけではわからないので、上にリンクを張った辺りから要約すると、
フランスで最も権威ある個人の現代美術コレクターの団体「ADIAF」が主催する「マルセル・デュシャン賞」。その10周年を記念して開催されているみたいです。そして、同賞のグランプリ受賞作家をはじめ、一部の最終選考作家と、デュシャン本人を含む28名の作品を一挙に公開となっているという展示ですね。
 
ということで、マルセル・デュシャンの考えからスタートした現代美術という発想の延長線上にあるフランスの作家が一同に介した今回の展示という感じでしょう。展示自体もマルセル・デュシャンの泉のレプリカが展示されている空間からスタートします。マルセル・デュシャンの作品はあまり意識してみたことがなかったので、この最初の導入も面白かったです。全体的にはフランスの作家ということもあるのか?それともマルセル・デュシャンということがあるのか?パッと観てすぐわかる様な作品は少なく感じてコンセプトワークとでも言えば良いのでしょうか?説明を聞くことで理解できて面白く感じる作品が多かったように思えます。しかも森美術館は解説の機器が無料ですからいいですよね。
 
作品は何人もの作家のものなので、共通点といえばそれくらいかな?なので好きな作家もいればあまりよくわからない作家もいたという印象ですね。個人的に一番面白かったのはサーダン・アフィフの《どくろ》という作品なんですが、これは実際に観てもらいたいという感じですね。思わぬところにどくろが浮かび上がるんですが、圧倒的にどくろの支配下に置かれた感じが良かったです。そのほかにもスゴいとまでは行かないけど、なるほどなーとか興味をそそられる面白い展示があったし、あまり超有名アーティストはいなかったけれども粒ぞろいな作品が多かったように思えました。
 
 

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