ヘンリーダーガー展をラフォーレミュージアム原宿で観てきました。
ヘンリーダーガーというと2007年の原美術館の展示を観にいっていたんですが、その後上映されていた映画は見逃していて、それ以来となりますね。
ヘンリーダーガーを理解する上では、やはり彼がどういう人物でどういう生活をしてきてどうやって作品が発見されたのか?その過程を知ることで作品の見え方が変わってくると思っていて、原美術館の時は作品の点数もそれほど多くなかったという印象が残っています。それはダーガーをある程度知っている人が見に来るというイメージでつくったからなのではないかな?と想像しますが、今回の展示は、全く逆で何も知らない人が観に来てもわかりやすく理解できるような構成になっていたように感じました。(しかし、最後のまとめまでしっかりしすぎていてちょっと説明しすぎじゃないかなぁ?って思うところもありました。それくらいわかりやすく丁寧なのがいいのかなぁ?)
ヘンリーダーガーは、施設にいられるような少年時代を経て、病院の清掃員として働きながら誰に知られることも無く「非現実の王国で」という作品を作っていて、彼の死後にそれが発見され、あまりの膨大な量とその内容にアートとして広められているという人です。そして今回展示は、彼の人となりや、「非現実の王国で」内容にも軽く触れつつ導入となる部分と概要を説明、それを著名人がどう捉えているかというところまででパッケージされている展示でした。
原美術館で展示をやった時には、その造形や絵画として面白い部分に焦点があっていたように感じたので、今思うと華やかな色合いや画面の構図がにぎやかなものが多かったように感じます。ダーガーのメルヘンの部分を強調した展示だったように思えました。しかし、今回は「非現実の王国で」の概要をすべて網羅しようとしたのか色々なタイプの絵があって、グロテスクな物もたくさん混じっていました。そのあたりはあまり見た印象がなかったのでなかなか興味深くみれました。そのあたりから戦争や神への執着のようなものも感じ取れましたし、自分の孤独も感じれました。
今回の展示をみて、ダーガーがどんなことを思い、どんな気持ちで作品をつくっていたかに少しだけ迫れたような気がしましたが、(最後の著名人の感想でも何人かの方が触れていたが)一体それが良いことなのか?本当は誰にも見せたくなかったであろう作品を観られるという行為、自分に内面に誰かが迫まってこようとする行為それはどうなんだろうなぁ。と感じたりもしました。そう考えると原美術館のアプローチもなんだか良いような気もしてきたり。
とにかく、わかりやすく丁寧に説明して、しかもまとめまでつけてくれるという展示だったので、初心者の方には非常に観やすい展示だったんじゃないかな?って思います。ボリュームも会場の広さの割にはあった(というか、会場が狭すぎた。あの点数を置くならもうちょっと広い美術館がよかったなーなんて思ったり。)ので、なかなか楽しめる展示になっていたんじゃないかな?と思います。もうすぐ終ってしまいますが、オススメです。
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