Archive for 2017年5月

YCC Temporary 大巻伸嗣

YCC Temporary 大巻伸嗣をYCCヨコハマ創造都市センターで観てきました。
 

 
ヨコハマの歴史とヨコハマの地図と建物の記憶を混ぜたような展示。白く書かれた大きな地図がさすが大巻さんだなという繊細さとダイナミックさを持っていてそれだけでも成り立ってしまいそうなクオリティーでした。時間のサイクルと歴史のサイクルを意識したという15分ののループするインスタレーションでおもしろかったです。
 

 
大巻さんの作品で煙やシャボン玉を使ったものや、こういう地面に絵を描いても変化をさせていくようなものとかもあるので、そういう変化が起きるという意味ではそのループのサイクルも変化にも思えるし、横の赤い窓の中の絵や、全体が赤くなる瞬間など、戦争や地震という災害にサイクルがあるようにも思えるそういうテーマの作品で、読み込んでいくといろいろなコンテクストがあるような作品でした。
 


 

SHINJI OHMAKI 大巻 伸嗣
SHINJI OHMAKI 大巻 伸嗣

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大巻 伸嗣 アートフロントギャラリー
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愛☆まどんな「曖昧なUミーハーな愛」

愛☆まどんなさんの個展「曖昧なUミーハーな愛」をAWAJI Cafe and Galleryで観てきました。
 

 
POPな美少女の絵なんですが、クールな青だけの絵画でした。絵だけでもいい感じなんですが、その絵からはみ出す形でインスタレーションされていたというか、そういう会場構成になっていて絵画同士が繋がっているような面白い見せ方でした。
 

 
美少女はもう書き慣れている感じで、愛まどんなさんの作品だなというのがすぐにわかるので、そこから先にどういう風になっていくのかな?と思ったりしたのですが、やはり1番大きな絵はなかなかでこれから大きい絵もどんどん作っていくのかな?と思ったりしました。絵画が繋がっているのもそれの布石に思えたりしました。まだ買えるレベルの値段なので、お買い得な気がしました。
 


 

青森県立美術館

青木淳さん設計の青森県立美術館を観てきました。
 

 
青森で土地が余っているのか、かなり巨大な美術館で展示空間も超巨大なものがあって、これほど大きな作品を作るのは日本人ではあまりいないだろうなと思うし、海外からこれほど大きな作品をもってくることもなかなかできなさそうなので、この空間を生かすのは大変そうだなと思ったり。
 

 
半分地下に埋まったような作りで、その地層がところどころ見えているような作りが、近くにある遺跡を思わせる作りになっているのは良いです。ただ、なぜレンガのようなファサードでそのレンガをわざわざ白く塗っているのかはわからなかったなぁ。10年たったので結構メンテナンスが大変そうな感じになっていました。
 

 

 
コレクションは奈良美智さんの作品が1/3くらいを占めていた印象で、あと棟方志功の部屋みたいなのがありました。さらにシャガールのバレエ「アレコ」舞台背景画というのが超巨大空間を埋めていてこれのためにこの地下に埋まった天井高のある空間があるんだなという感じでした。あとは、野外作品に奈良さんの作品が2つあってあおもり犬は人気でした。あと、コレクション展のところにあった立石大河亞さんの立体もなかなかおもしろかったな。
 


 

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ラブラブショー2

ラブラブショー2を青森県立美術館で観てきました。
 
コンセプトが近かったり、合わせてみると面白いというような作品を、同じ空間に置いてそこから新たなコンテクストを読み解くような展示でした。
 

 
コラボレーションという形というよりは、同じ空間に置いてあるという感じで、一緒に作品を作るという感じとはちょっと違ってるかなという感じでしたが、それはそれで面白い見方もできたりしてよかったです。また、青森県立美術館の建築としての面白さは遺跡のような地中に入っているような空間や、その中に現れる超巨大空間かと思うのですが、岡本光博さん(美術家)× 青秀祐さん(美術家)の部屋は巨大な作品が超巨大空間にあって、空間が生かせていて面白かったです。
 

 
東京の飛び地も余裕があれば観に行きたい気もするがって思ったら、もう終わっていた。笑
 


 

十和田市現代美術館 と その周辺

西沢立衛さん設計の十和田市現代美術館を観てきました。
 

 
小さい箱が通路で繋がっているというのは西沢さんらしいというか、SANAAらしいというか、21世紀美術館は美術館内部に入るにはどこからでも入れるけど、展示室には入れないように区切られている感じでしたが、十和田市美術館に関しては箱がバラバラに置いてあるが。その通路のなかには入れないことで展示室に入れないという感じでした。どちらもSANAAの建築で見る方法ですが、こっちの方が集合住宅的な手法でつくられている感じでした。
 

 
草間彌生さんを筆頭にアート広場には大きめの野外作品が置いてあって、結構日本では見ない規模の野外作品だったので、結構すごいなという印象ですね。あと、残念ながら常設の方は写真不可なんだけど、やはりロン・ミュエクは一見の価値ありですね。目を合わせると合うんですよね。リアルすぎて。今なら進撃の巨人ってこんな感じかと思ったり。あとは、ジム・ランビーとかスゥ・ドーホーとか結構好きな作品もありました。
 

 
アート広場はあるけど、建築自体が小さいところをみると土地はあったけど、予算が・・・という感じなのかもしれませんが、やっぱりもうちょっと大きな美術館だといいのになーと思いました。企画展のスペースが小さすぎる気がするんですよね。常設が3/4くらいある感じだし。
 

 
とはいえ、美術館はそんな感じだけれども、十和田市はそれだけじゃないのがすごいですね。十和田市民図書館が安藤忠雄さんの建築なのです。中は安藤さんには珍しく木で暖かい感じにできていて採光も多くて明るい図書館でした。しかし、安藤忠雄部屋みたいなところもあって、そこはいかにも安藤さんだなという部屋でおもしろかったです。
 

 
そして、さらにあるんです。隈研吾さんが作った市民交流プラザ、トワーレがあります。歩いて行ける範囲で安藤建築・隈建築・西沢建築がみられる場所って日本でも表参道か十和田市かって感じなんじゃないんだろうか?しかも表参道よりもこちらの方が作家性が出てて面白いです。そんな隈研吾さんは最近の感じの木を使った建築です。
 

 
中は子供達が遊べる空間があったり、休憩することができる空間があったり市民交流プラザとして、人気でしっかり使われている感じがよかったですね。内側も木を使っていて綺麗にできててさすが隈さんだなぁという感じ。予算をかけずに見た目良くって感じで作ってそうだけど上手だなぁーという印象でした。
 

 
十和田市はもちろん美術館の内容とか展示とか展覧会とかが中心で来る機会となったんだけど、こんなに建築的にも面白いところでいいなぁーと思いました。コンパクトながらに面白いものが集まっていました。センスがいいなぁ。
  


 

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村上隆のスーパーフラット現代陶芸考

村上隆さんの「村上隆のスーパーフラット現代陶芸考」を十和田市現代美術館で観てきました。
 

 
最近村上さんがFacebookなどでいろいろ投稿している現代陶芸の展覧会です。村上さん自身が現代陶芸のコレクターであるので、そのコレクション展であるのですが、村上さんは日本の現代陶芸と現代美術の共通点やその文脈から芸術を問い直すようなことをしていて、それの展覧会という形です。
 

 
ステイトメントやコンテクストのようなものは村上さんのFacebookの2017年の前半くらいを見るといろいろ書いてあったりするので、その辺りを観ていただければと思いますが、陶芸の世界は日本の芸術の縮図でもあり、現代生活陶芸も現在外に活路を見出す時期に来ているのではないか?しかし、そんななかいつもの日本的な考え方でまた悪い方向に向かっているのではないか?というようなものであると思います。それを村上さんとしては打破して新たな芸術の道を進んでいこうとしていると思うのですが、それらのなかで重要となってくる作品の展示という感じでした。
 


 
大谷工作室さんの巨大な作品から、奈良美智さんのような現代アートから来ている陶芸や、桑田卓郎さんのような陶芸の新たな一歩を進んでいるようなもの、また逆に普通の皿や壺のようなものまで所狭しと並べられていて、村上さんの話に出てくる作品を直に観るような機会になりました。
 


 

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北参道オルタナティブ・ファイナル

北参道オルタナティブ・ファイナルを観てきました。
 

 
今回も前回と同じ場所で開かれている北参道オルタナティブのファイナル展です。観た感想としては、前回とほぼ同じ作家で、同じ場所ということで、新鮮味というかそういうものがあったんだなということが理解できました。そもそも結構こういう取り壊しになる建物を使っている割には無難なホワイトキューブ的な使い方をされているなという印象だったのですが、そういう空間で2回目ともなると、あたかも普通にホワイトキューブでグループ展を観ている感覚にかなり近いと感じました。
 

 
それは同時に急激にハードルがあがるという気がします。より個々の作品の力量を問われる気もしますし。そういう面ではそのマイナスがあり前回の方がよかったかもな思ったのは否定できない部分ですが、それでも新しい作品や、外から観たときにいろいろ絵画が増えていたり見所はあったと思います。大槻英世さんのとかはいつ見てもマスキングテープにしかみえないし、区別できないし、今回はライブペインティング的に作業していたり、そういう前回との違いもありました。
 

 
とはいえ、やはり前回の方が新鮮味があってよかったなと。作品の力がないわけではないんだけど、こういう場の雰囲気が強い場合に何度もやるのはかなりアーティスト側からすると実は辛いのかもなと思いました。難しいですね。
 

カールステン・ニコライ「パララックス」

カールステン・ニコライさんの「パララックス」を市原湖畔美術館で観てきました。
 

 
展覧会自体はあまり大規模というほどでもなかったのですが、最初のunidisplayの作品はいくつものパターンを流したりするので、ボリューム的に少ないとはそれほど感じませんでした。結構湖畔美術館は空間が変な形で使いづらそうなのに、空間の使い方が上手いなーという部屋にあったそれぞれの展示でおもしろかったです。模様やパターンが少しづつ変化しながらサウンドを生成するような巨大なunidisplayは見飽きないで見続けられる映像で、映像美という言葉はまた違う気もしますが、こういうのも映像美としか言えない気がします。
 

 
強いて言えば、映像はかなりしっかりと大きく出力されていたのに対して、音が思ったよりも小さめでもうちょと大きめな良いサウンドシステムで音を出したら面白いのになと思ったりしましたが、まあ、それぞれの作品の音声が干渉しあわないバランスをとるとあれくらいなのかもしれません。unidisplayとかは爆音で聴きたかったですね。
 

 
今まであった路線バスがなくなり、最寄りの駅からはタクシー利用か丘を1つ越える20分コースの歩きしかないし、その最寄駅までも電車が1時間に1本あるかないかという非常に過酷な場所でやっていますが、見に行った甲斐はあったなと思いました。とはいえ、もうちょっとどうにかならないものかと思いますが・・・。苦笑
 


 

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小泉明郎展「帝国は今日も歌う」

小泉明郎さんの「帝国は今日も歌う」を原宿のVACANTで観てきました。
 

 
GWを含む9日間のみの会期なので、見れない人も結構いるかもしれませんが、思った以上に混んでいて注目度の高さが伺えました。
 

 
私の夢も帝国に侵されたことがあります。というサブタイトルの通り、そのようなところから語りがスタートしますが、父が権力に連れて行かれる不安のようなものや、力や思想によって弾圧されるようなもの、それを見ようとしない外枠の人々のようなもの、それらの中を連れて行かれるような、夢のように進んで行く映像でした。
 
結局のところこれを伝えるというようなものとは少し違った現在の空気をアートという形に封入して、それを長い時間いろいろな場所で再現できるようなものであるような気がしました。不安と権力と力と思想の混じり合ったものが圧倒的に迫ってくるようなものでした。国立や都立の美術館とかでは見れなさそうという話があるのも納得できるような気がしてしまうほど、強度のある映像でした。
 

小泉明郎 捕われた声は静寂の夢を見る  KOIZUMI Meiro: Trapped Voice Would Dream of Silence
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