Archive for 2017年4月

半田真規「トーキョーパレス」

半田真規さんの「トーキョーパレス」をstatementsで観てきました。
 

 
立体なんだけどサンプリングのようなコラージュのような見た目で繰り返されて図像になっているという作品でそのリズム感が独特な立体になっています。こういうサンプリングのような立体ってあんまり見たことがなくておもしろかったです。構造としてレイヤーみたいのなっているのも平面を感じさせて、立体なのに平面に近づいている感じがしました。とはいえ、ギャラリーのほとんどを使っているという圧迫感を強烈に感じて平面ではないなという確認をするような展示でした。
 

 

新作となる本展覧会の『トーキョーパレス』は、「トーキョー」感を契機に、都市に見られるパターンをギャラリーの空間全体に割り付ける手法で制作されます。圧倒的な物質量で構成される「トーキョー」において、様々な素材は強制的に干渉しあい、連続したパターンとして重層していきます。また、そこに至るまでの物の移動は、莫大なカロリーを浪費する運動となり結果としての必然を生んでいます。

 
なるほどトーキョーの連続とパターンが重そうしている感じなのか。ふむふむというレベルの私ですが、圧倒的な物質感は確かに感じて圧迫されるような気分になりました。個人的には東京生まれなので、東京に物質量的なものは感じないのですが、そういう切り取り方もあるんだなと思いました。
 


 

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五木田智央「Holy Cow」

五木田智央さんの「Holy Cow」をタカ・イシイギャラリーで観てきました。
 

 
世界的な日本人アーティストっていうのは何人かいると思うんですけども、五木田さんも日本にとどまらない世界的なアーティストですね。海外だとMARY BOONEギャラリーにそうそうたるアーティストと共に名前がありますね。2016年2014年にNYで展覧会が開かれています。イラストレーターというようなところから入って普通に絵画もできてしまって、さらに大きな画面も問題なく作れるなんて天才と言っていいような。五木田さんの詳しい話はフクヘンこと鈴木芳雄さんの記事が非常に面白くわかりやすいです。
 

 
とにかく、白/黒/グレーだけで無限の色合いを表現している気がしますし、モノトーンなのに色がついている絵画よりも何か充実した画面に見えるのは、そこにある情報を伝える方法がうまいのかな?と思います。時に消したり、時にコミカルに、不必要な情報は省いたり置き換えることで、深みがあるけどPOPな絵画が生まれているような気がします。
 

 
どこか新しくて、どこか古ぼけていて、なんとなくPOPで、なんとなくエロくて、なんとも言い表せないバランスで表現されていてとにかく見飽きることがなくてこういう作品が家に一点あったらずっと飽きないで観ていられるんだろうなという想像ができる作品です。とにかく良いです。必見。そういえばテイトウワさんの新作のジャケットも五木田さんですね。
 


 

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赤石隆明「Waste Park」

赤石隆明さんの「Waste Park」をG/P Galleryで観てきました。
 

 

本展では、2010年より始めたプロジェクト「Waste Park」が俯瞰できるような展示構成となっています。「Waste Park」は、友人よりプレゼントされた赤い石(パワースートン)を起点に、写真、立体、パフォーマンスなどジャンルを問わず作り出したイメージの変換を繰り返すことで、自作をアップデートし続ける試みです。パワーストーンの形を模造した多面体のコンクリートの塊を展示し破壊するというパフォーマンス(2011年)、これらの記録写真を転写した布で大量生産したクッション(2012年〜)、多面体の組み合わせを数パターン撮影し、ストレッチフィルムにプロジェクションした100以上のバリエーションからなる「Flimsy Stele」(2015年〜)にみられるように、作家の制作環境や条件に左右されながらも形態を変化させ、執拗な反覆によって増殖を持続させています。「あいちにトリエナーレ2016」で発表したインスターレションでは、2メートルにもおよぶ巨大なクッションへと変貌と遂げており、同作を発展させた新作も展示予定です。ぜひこの機会にご高覧ください。

 
とあるように、展覧会をやるたびに進化しているというか、物語が追加されているような展覧会をやっていて赤石隆明さんのWEBとかみるとその過程が追えて面白いのですが、その最新の展覧会が今回のもので、前最初の方でやったと思われるコンクリートブロックの破壊の写真を展示しつつ、回のあいちトリエンナーレの作りをほぼそのままに、コンクリートをその展示にかけるという展覧会になっていて、なんというかコレはもしかして一周してループ展開に?みたいな面白さがありました。
 

 
作品の中にそれまでの展覧会が込められていて徐々に進んできたと思うのですが、それを破壊するかのような、全て塗りつぶすかのようにコンクリートがかけられていたのは、次が気になってしかたがないです。ちなみに前回のあいちトリエンナーレも行ったので一枚写真をアップしておきます。
 

 
あいちトリエンナーレでも記憶が正しければ何か即売的に売っていて安かったような気がしたのですが、今回も作品で使われているクッションの小さいものと似たようなものがかなり安い値段で売られていて(多分エディションとかないからだと思います)、これは買いだなと思います。というか、実際まだ買ってないけど、ほぼ買いました。笑
 

 


 

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篠原有司男展 「我輩の絵にパンチが炸裂!」

篠原有司男さんの「我輩の絵にパンチが炸裂!」を山本現代で観てきました。
 

 
篠原有司男さんといえば、絵画、立体、パフォーマンスという様々な手法でいろいろな作品を作っていますが、今回はボクシングペインティングの作品を中心に展示していました。初日にはパフォーマンスがあったようなのですが、やはりそれを見てこその作品なのかな?と思って見に行きましたが、そんなことは関係なく作品としても強度があっていい作品でした。
 

 

その名の通り、対象と真っ向から向き合い、格闘する「ボクシング・ペインティング」は、自分自身や、キャンバス、観客、ひいては社会との対戦そのものです。思考と同時に右から左にパンチが繰り出され、構図や筆圧を考える暇を与えません。途端にアクションは思考を追い越し、篠原のパンチそのものが純粋に作品となっていきます。
 
—ボクシング・ペインティングは右から左に向かってボカボカやるので、構図とか絵の具のニュアンスとか全部一切抜きにして、左右の手の絵の具ついたボクシング・グローブの両脇を振り回すスピードと思考のスピードが一緒にならなくちゃいけないでしょ。そうすると思考っていうのは限られていくわけよね。手の方が早いから。そうすると手が自分の思考をリードしていくわけ、逆に。

 
という風にあるように、もちろん、パフォーマンスが見れたらより作品が良くなるかもしれませんが、そのままでもボクシングのリズムと動きの感じが絵画として現れていてすごく良かったです。そのリズム感から琳派の要素が見受けられるとTwitterとかでみましたが、確かにこういう色合いとか見るとよりそんな気がしてきます。
 

 
今回は、自分の書いた絵画の上にボクシングペインティングをするというようなことも行ったようなので、より見応えがあるようにも思えました。このボクシングペイティングはパフォーマンスを見てこそなのか、それとも作品が全てであるのかとか思ってしまいますが、そんなことについてもステイトメントに書いてありました。
 

ボクシング行為は単なる技法であり、作品が本命だとする見方もあり得ますし、あるいは逆にそれは美術家のパフォーマンスであって、アクションこそが本命であり、絵の具のついた布はそのための道具に過ぎない、という見方もあり得ます。しかしそれは行為と作品の主従がない彼の作品の特徴であり、人々の前に身体をさらし、絵の具のしぶきやその場の喧騒、全てをひっくるめた「早く、美しく、リズミカル」な動きそのものがキャンバスに転写されており、行為と作品の優劣のない作品となっています。

 


 

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JUERGEN TELLER「TELLER GA KAERU」

ユルゲン・テラー「テラー ガ カエル」展をBLUM & POE 東京で観てきました。
 

 

テラーは、1991年にDetails誌に掲載されたカート・コバーンを撮影したアイコニックな作品によって大きな注目を集めました。その後、1992年に渋谷パルコで行われた初めての個展では、ポートレイトや初期のファッションフォトを発表しています。翌年には、モナコのフェスティバル・ドゥ・ラ・モードにおいて<1993 Photography Prize>を受賞しました。以来、作家はマーク・ジェイコブス、ヴィヴィアン・ウェストウッド、COMME des GARÇONS、ヘルムート・ラングといった世界的なメゾンやファッションデザイナーたちとの数々の企画に携わって来ました。ありのままでカジュアルな雰囲気を湛えた作家の作品群は、無作為なようでありながら、厳密なプランやステージ構成の元に成り立っています。このような対照的な要素がもたらす緊張感は、本展によせた風変わりなシナリオにも現れていると言えるでしょう。

 
というように完全に計算された写真のようなんですが、その完全に計算されるベースとなる部分が絶妙な気の抜けたような写真でどこかこちらがバカにされてるんじゃないかというくらいに、捉えられない写真がならんでいました。
 

 
入り口部分で流れていた動画なんかは、ギャラリーでやっているテラーの展覧会を興味なさげにダラダラみながら現代アートとかわけわからないなーみたいなみたいなことを言う動画で、逆にこうやってみる方が正しいのではないか?と思うほどのもので、そこから捉えずらさがより強調されたような気がしました。
 
とにかく、この独特な計算されているのか、されていないのか全くわからず捉えどころのないような写真が面白い写真に見えてしまうあたり、完全に計算されているんだろうなと思います。他のファッションよりな写真もいろいろ見てみたいな。(検索すればでてくるか。笑
 


 

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加藤泉展

加藤泉さんの展覧会がTake Ninagawaでやっていたので、観てきました。
 

 
ARATANI URANO所属だったと思うのですが、今回からTake Ninagawaの所属になったのかな?Take Ninagawaは海外に強いギャラリーのイメージがあるので、加藤泉さんが所属するとなかなかいい方向にドンドン海外進出しちゃうのかな?という感じがします。
 
作品という意味では、今回はものすごく新しい何かというよりはTake Ninagawaでの紹介的な意味合いが強いのかいろいろなタイプの作品があるという印象でした。いつもの人のモチーフのフィギュアを使ったような立体作品から絵画を上半身下半身でつなぎ合わせたかのような作品があったりという感じでした。
 
これからどんな感じの作品が増えていくのか、海外にガンガン進出しちゃうのかな?これからが楽しみになっていくような気がしました。
 

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GINZA 24H SQUAD

銀座の廃ビルになるビルの取り壊し前に、そこでイベントしてしまおうというもの。
銀座でこんなイベントができるなんて想像もしなかったし、結構急に決まった感じであまり情報も直前まで出回らなかったような気がしました。
ただ、そういうこととは別として、こういう取り壊しのビルとか建物でやるイベントは幾つかあったと思います。バラックアウトとか北参道オルタナティブもそれだし、少し前だとBICTIONとかもそれかなと。個展なのでちょっと違うかもしれないが、廃ビルという意味ではChim↑Pomとかの歌舞伎町のイベントも近いと思います。
 

 
しかし、今回はそのほかのイベントと違って、時間をかけた計画的なものとかキュレーション的なものとかはあまり感じず、スピード感とか集まった作家それぞれが頑張って力技で強引に開催されている感じがして、それはそれで現場のような今という感じというか、そういうものが感じられて面白かったです。ただ、きっと本とかにもならないだろうし、記録もあまり残らなそうだから、語り継がれたりも、まあしないのかもなとも思ってしまった。
 

津上みゆき「かつて時間であった線 かつて気配であった色」

津上みゆきさんの「かつて時間であった線 かつて気配であった色」をGALLERY HASHIMOTOで観てきました。
 

 
その昔、津上みゆきさんの作品のイメージはもっとぼんやりとしたアンビエントな気配を書いたような作品が多かったように思っていましたが、いつの頃からか力強く、まさに今回のタイトルの「かつて時間であった線 かつて気配であった色」が別の形になって表現されているようにも思えました。
 

 
作品の感じによってはラウシェンバーグ的なプリミティブにも近い作品になっているような気がして、昔の作風も好きですが、これはこれで良いように思えてきました。以前はなかった衝突のような力のようなものが表現されているかもしれません。新たな発見をした気分でなかなか楽しかったです。
 


 

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