Archive for 2017年3月

N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅

N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅を森美術館で観てきました。
 

 
森美術館でインドのアーティストというのを何人か見ていると思うのですが、共通して、いろいろな人種がでてきたり政治的な動きをしているという印象があって、これは森美術館が選んでいるからこうなるのか、インド人のアーティストがそういう方向なのか、わからないですが、N・S・ハルシャも真面目なアーティストで、いろいろな人種や政治的なことがらをモチーフにしている印象でした。
 


 
それに加えて、モチーフとして出てくるのかミクロな視点とマクロな視点を中心として捉えた絵画が大半の作品をしめているという印象でした。繰り返しのモチーフの中に微妙な違いがあり、そのなかに様々な人(有名なキャラクターや、有名なアーティストなど)がいろいろなストーリーを作りながら作品を作っていて、時には自爆テロのようなモチーフもあったりなど、読み解きやすくもしっかりとしたテーマを扱っている感じでした。
 

 
子供達とのワークショップのような作品とか社会とのつながりもある作品もありましたが、やはり一番印象的だったのは、巨大な宇宙のような一筆書きのような作品で、マクロ視点とミクロ視点を繰り返しを使わずに巨大作品として成立させていました。やっぱりこれだけ大きいと迫力がありますね。
 


 
テーマとしては難しいテーマかと思いますが、作品を読み解くという意味では分かりやすく入りやすい作品が多かったので、見やすい展示でした。
 


 

N・S・ハルシャ展 チャーミングな旅
美術出版社
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金氏徹平「記号は記号ではない」

金氏徹平「記号は記号ではない」を上野の森美術館で観てきました。
 

 
そもそもはVOCA展と一緒にやっている企画なんですが、VOCA展の方は写真もNGだし、内容もなんとなく微妙というかまとまりがないというか、ある意味いつもの感じだったので記事は書かないことにしてこちらの方だけ書くことにしました。金氏さんのファンだしね。笑
 

 
最近よく見るようになったモビール的な作品とリキッドを切り取った大きな立体作品、漫画のようなものを重ねた作品や、時々見るソフトスカルプチャー的な作品とあまり見たことがない石や地味な色のものを重ねた彫刻というような様々なものがある展示でしたが、いつも通り作品としては何かと何かを出会わせて掛け合わせることで新たな形や作品を産んでいるようなものたちでした。
 

 
その組み合わせというか、掛け合わせのバランスが絶妙でPOPでもあり、作品らしさがでているという部分で面白いです。作品のコンセプトの部分はしっかり作っているんですが、個々のパーツはいろいろなところから拾ってきていて、タイトル自体にも「記号は記号ではない」©松田青子となっているところからしても、うまくパーツを拾い集めて組み合わせるREMIXのようなところが面白いです。REMIXというか、それに金氏エフェクトがかかってる気もするからDUB MIXに近いかも?(まあREMIXとDUBMIX似たようなものという話もありますが・・・)
 

 
出会わせるとはいえ、これは謎だった。何か出会ってる感はあるけど。脱力感もすごいというか。何故、猫と石・・・。笑。この作品は置いておくとしても、最近ART FAIR TOKYOとかSatoko Oe Contemporaryでも見ていましたが、まとまった展覧会という感じがして良かったです。
 
そういえば、丸亀でみたメルカトルメンブレンの図録、まだ届いてないな。笑


 

溶け出す都市、空白の森
金氏 徹平
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コンビニ人間
コンビニ人間

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村田 沙耶香
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コンタクト・ゴンゾ「フィジカトピア」

コンタクト・ゴンゾのフィジカトピアをワタリウム美術館で観てきました。
 

 
普段は身体と身体のぶつかり合いの中に普段忘れている暴力的な雰囲気も含めたストリート感のあるようなパフォーマンスや物の作成を中心にしているというイメージが強いので、展覧会となるとコンタクトゴンゾのパフォーマンス部分が抜けてどうなるかと気になっている部分がありました。
 

 
そんな中、いろいろな情報をみていたらボールをぶつけられる作品があるということがわかって、これは行かなくてはいけないのではないかという気になって行ってきました。
 

 
もともとビジュアル面でもNAZEさんというストリートな絵を描ける人がいるので、ビジュアル的にもしっかしていて、全体的に男っぽさや危なさみたいなコンタクトゴンゾの雰囲気を人間がそこにいなくても、表しているという面白いものになっていました。(逆に動画でパフォーマンスを流しているものは本物のパフォーマンスを見たことがあるだけに、物足りなさもありましたが。やはりパフォーマンスは目の前で見ないとダメですね)
 

 
注目していた「黒い家の庭」という作品は、そのボールがぶつかるまでの緊張感と実際にぶつかった時に少し痛い(配られた上にも注意で書いてある。笑)という、これがコンタクトゴンゾに触れたような気がしてすごく良かったです。展覧会内容にあるように「殴られてるのに笑える。 Punching,」という感じ。なんだかボールをぶつかって痛かったという体験を共通に持っている人たちと妙な連帯感が生まれた気すらしました。
 
パフォーマンスだけでなく展示もできるんだなぁと思ったのですが、こういうのはなかなか普通の美術館ではできなさそうだなと思い、さすがワタリウムとも思いました。とにかくいい展示でした。またそのうちどこかで次をみたいな。
 
ついでですが、以前に撮ったパフォーマンスの動画貼り付けておきます。
 

 


 

NAZE作品集『GO OUTSIDE』
NAZE作品集『GO OUTSIDE』

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オースティンリー・リー「Serious Works」

オースティンリー・リーさんの「Serious Works」をKaikai Kiki Galleryで見てきました。
 

 
デジタルをベースにしているという感じのする作品たちがたくさんありました。デジタルをベースにしているおかけで、2次元や3次元などのことは関係なく自由につくられていて、その自由さが絵のテーマにも出てると思うのですが、とても面白かったです。
 

 

 
写真で見るとさらに実感するのですが、一体どこまでが絵でどこまでが立体なのか分からなくなるような不思議な立体感があり、今回の展示でホワイトキューブではなくなったギャラリー空間がよりそれを強調しているように思えました。
 

 

 
とにかく、グダグダな絵画に見えるのだけども、実際見ると良さがあるし、さらに写真とかに撮った時にさらにその面白さがでてくるあたり、今っぽいアーティストで良いなーと思いました。こういうアーティストの展覧会やってくれて本当にカイカイキキギャラリーはありがたい。
 


 

3331 Art Fair 2017 -Various Collectors Prizes-

3331 Art Fair 2017 -Various Collectors Prizes-に行ってきました。
 
ART FAIR TOKYOと同時期に開催されるFAIR。若手中心で値段も手頃。結構見てきた作家さんとかもあって悪くない。買える値段ですしね。
 

 

 

 
アレっぽいなとか、あそこでみたなとか、そんなのもちらほら。
 
ART FAIR TOKYOのカウンターとしてあるみたいなことがどこかで書かれていたのとかをみたが、そもそもART FAIR TOKYOがカウンターするのに値するのかという疑問はイマイチ隠しきれない。
 
それは、まあ、置いておくとしてとりあえず買いやすい値段の作品が多いし、好きな作品もあったりするのでいいのですが、これだとギャラリー回って見てる時と変わらないし、そもそもギャラリーで買った作品ここにも置いてあったし、なんだかなぁ感はある。
 
ART BASELと比べてはいけないのはわかっているんだけど、ああいうART FAIRが見たいし、カウンターとかではなくART BASELとかは同時期にいっぱい他のFAIRも開かれるわけなんだから、それはそれとしての立ち位置を決めてしっかりやれば良いような気もする。コレクタープライズとか意味あるのかはよく分からない。選ばれれば悪い気はしないだろうけど、選ぶのは買う人で良い気がするけど。
 

ART FAIR TOKYO 2017

ART FAIR TOKYO 2017に行ってきました。
 
目玉はシャガールとかだったのかな?撮影禁止でしたけども。とはいえ、なかなかびっくりしたのが、会場の端の方の会場外みたいな部分に家が建ちそうな値段のKAWSの作品があったこと。(たぶんちょっと盛りすぎな値段な気がするんだけども)周りにあったKAWS作品の値段を全部足したらびっくりな値段になるのに会場外か…。
 

 
隣にはジャンミッシェルオトニエル
 

 
なんとなく雰囲気だけだけど、少しだけコンテンポラリーアートの面積増えてたような?入ってすぐ名和晃平さんやら、小金沢健人さんやらやら
 

 

 
ミヅマアートギャラリーで堀浩哉さんと金泰浩さん。金泰浩さんのミニマル感良い。
 

 

 
話題のASAKUSAいろいろ状況もあり、じっくり見れなくて残念
 

 
アルマスギャラリーの高橋大輔さん。大きいのに目が行くけど、横の斜めのやつとか、立てかけてあるのとかも良い。(もちろん大きいは、遠近どちらでも面白くて、すごくよい。)
 

 

 
Satoko Oe Contemporaryは金氏徹平さん。モビールの作品すきだなぁ。
 

 
青山目黒 x ギャラリー壺中天の羽永光利さんの写真。見応えがある。歴史的イベントの写真とかとか。とにかく展示としてしっかりしていて個展レベルの展示だった。
 

 
ANDO GALLERYのショナ・トレスコットの風景画は良い。
 

 
日本以外の国から来ているギャラリーも多くはないけど、一応ありました。結構韓国のギャラリー良かった。
 

 

 
あと、これは完全にチケットのいらない会場外だったけど、若手のPOPUPみたいなのをやっていて、そこも結構良かった。近藤亜樹さん、中村太一さん、森千裕さん、コバヤシ麻衣子さんとかとか。
 

 

 
全体的には、良い作品もあったし、まあ目玉はないとはいえ、どうせそんなもの買えないから、個人的には良かったとは思う。でもアートフェアとしてはイマイチだとおもうけど、日本的にはこんなもんなんだろうなー何て思ったりしました。うーむ。それでいいんだろうか。ART BASEL HONGKONGがあると思うとなんとも。
 


 

Kaws: Where the End Starts
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「村上隆のスーパーフラット・コレクション」カタログ

十和田市現代美術館で、村上隆さんの「村上隆のスーパーフラット現代陶芸考」が始まっているので、以前横浜美術館で行われた「村上隆のスーパーフラット・コレクション」の展覧会カタログを読み直してみました。
 

 
改めて分厚い本だなと、写真がとにかく多く綺麗なので、展覧会の内容がよく分かると思います。書いてある文章自体もそれほど難しくはなく、とにかくアーティストではなくコレクターとしての村上隆さんがどのような人なのか。どのようにアーティストとしての村上隆と繋がっているのか?が分かるような内容です。
 
こういうことを知りたくて村上隆さんがコレクターになったというステートメントの一部を抜粋しておきます。
 

まず・・・・・・芸術はなんで高額で取引されるのか?
それから・・・・・・古いものはなぜ、高額になってゆくのか?
古くて、かつ、芸術的に高い価値を持つものとは何か?
有名な名物の古いものと、無名のものとの間にある差とは何か?
芸術における良し悪しとは何に起因しているのか?
価値に個人的な思い入れは関係があるのか?
国によって、価値の変動はあるのか?
画商ってどういう商いを行うのか?
コレクションを集めてゆくとはどういうことなのか?
美術館とはなぜできたのか?
人はなぜ、芸術を鑑賞せねばならないのか? などなど。

 

 
十和田市現代美術館で行われる展示はこの中から特に現代陶芸の部分に焦点をあてて、強力なコレクターとして、さらには世界的なアーティストであるという視点を入れた展示になっているようなので、かなり面白そうで、行きたいのですがいけるかなぁ・・・。頑張って予定を早く立てないと気がつくと終わっちゃう展覧会とかあるので要注意ですね。
 
ちなみにステートメントの一部を抜粋しておきます。
 

利休にはじまる茶の湯、柳宗悦を中心とした民藝運動、デパート陶芸からクラフトフェアまで、多様に展開する陶芸の世界から、日本の価値と美のありようを汲み上げる村上の頭の中の陶芸史を初公開。陶芸の文脈を再考しつつ、「芸術とはなにか」に迫る、村上隆キュレーションによる美術館初の陶芸展です。ぜひご期待ください。

 
 

村上隆のスーパーフラット・コレクション
村上隆
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村上隆の五百羅漢図展
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Murakami: Ego
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Takashi Murakami
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スーパーフラット
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リトルボーイ―爆発する日本のサブカルチャー・アート
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荒川医「Tryst」

荒川医さんの「Tryst」をタカイシイギャラリーで観てきました。
 

 
入ってすぐに下に引いてあるArt Baselの横断幕のようなものがあること。そして謎の発光体がそれぞれ呼応しているかのように並べられていること。謎のミュージカルのような掛け合いが始まっていることに驚きつつ、日本語字幕を見たりしていると、なんとなくアートのことを話していることがわかるような。
 

 

5台の自立式LEDスクリーンに映し出される具体美術協会の作家5名の絵画作品が演じる、ミュージカル形式の新作インスタレーション作品を発表いたします。

 
今回はこのようなパフォーマンスのようなインスタレーションのようなものだったので、何やらどう捉えていいのかわからないという気がしつつも、なんだかコミカルで面白いような内容のような。


 
荒川さんがパフォーマンスアーティストであるということはなんとなくわかった気がするんですが、他の作品も見ていくうちにこの作品の面白さがよりわかってくるような気がしました。そのそもベースになっている具体の作品自体もよくわからなかったし、多分田中敦子さんかなーとかそういう感じで、これだけ輪郭がはっきりしなくても多分わかると思うんだけども。もうちょっと歴史しってないとなと思ったりもしますが・・・。
 


 

宮島達男「Counter Void」Relight Project 2017

宮島達男さんの「Counter Void」のRelight Project 2017を観てきました。
 

 
電力を使いながら点灯されていた、Counter Voidが2011年に消えてから、震災の記憶をどのように捉えていくかが問われているような気がします。東京人々の記憶から薄れ始めてきているのではないか?それを改めて考えさせるのがRelight Projectなのかなと思います。
 

 
個人的には、Counter Voidが点灯していた時期を知っていて、あの角で作品が光っているということが当たり前でした。そのなかで光が消え、そして再点灯。懐かしいなという感覚と、以前は当たり前だったことがもう当たり前ではなくなっているのだなという再認識をする機会になりました。
 

芸術論
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