Archive for 2011年6月
八木修平 「Fast Vehicle」を児玉画廊で観てきました。

児玉画廊ではこういうタイプの作品を結構観る気がしますね。カラフルな色の混ざり合い。その中の描画する方法の違い、さらにその色や流れのつながりをカットしたかのような構図の展開の様な感じは連続と断絶で絵に緊張感を与えたりしているようにも思えます。スピード感のあるような流れる色の連なりが重なっていてそれがスピード感ともなっているんだけども、多重に書込まれた感じが移り変わりや変化を思わせてなかなか見所が多かったように思えます。またプレスリリースを読んでみると以下のように書かれています。
本展「Fast Vehicle」では、音楽を聴いているときの感動や、運転している時の乗物との心地良い一体感、ゲームにのめり込みすぎて陶然とするような感覚、輪郭がぼやけ灯りが浮かび上がる夜景の非現実感などのイメージがそれぞれの作品に混在しているのだと八木は述べています。
どれが音楽でどれが運転というのはわからなかったですが、ここで表そうとしていたイメージの片鱗は確かに絵を観ているだけでもわかったように思えますし、プレスリリースを読んでから、それを観れば音楽や運転などとの共通点も見いだすことができるように思えます。とはいえ、そこまで観なくても単に色や形やその手法を観るだけでもかなり面白いと思います。
Tags:児玉画廊, 八木修平
GALLERY | No Comments »
黒川知希 + タティアナ・ドール 展を、NANZUKA UNDERGROUNDに観にいきました。

両者ともペインティングというタイプの作品を作っていて、結構大きな物もあったりしました。黒川知希さんは何やらいろいろなところから引用してそれを大胆に配置して構成しているような気がします。実際にある空間とか常識的な配置や絵のつながりというようなものは無視して書かれているような絵でドローイングなんだけども、ところどころしっかりと書込まれていたり、逆に曖昧なまま放置してあるような作品でした。タティアナ・ドールさんはかなりドローイングという感じがとても強いですね。筆にスピード感があるという感じでしょうか、またその筆に力があって迫力があるという感じもしました。テーマとかイマイチわからないけど、その迫力のようなものを感じる作品でした。2つの共通点はドローイングで、なにかジャンクなニュアンスがあるところでしょうか?そのジャンクさがNANZUKA UNDERGROUNDっぽかったです。
Tatjana Doll
Koenig W.
売り上げランキング: 551626
Tags:NANZUKA UNDERGROUND, タティアナ・ドール, 黒川知希
GALLERY | No Comments »
宇治野宗輝 「TRANSCRIBED」を山本現代で観てきました。

ターンテーブルを起点にしてレコードに突起をつけて回転させることで、その突起がターンテーブルの上に仕掛けられたスイッチを押すことで、電気が通電して様々な物を起動させて音を奏でます。例えば掃除機が吸い込む音がハイハットのように聴こえたり、木箱を叩く音がキックのように聴こえたり。その他にもモータをピックアップの近くに近づけることででる等を利用したり、ライトがついたり消えたりなども含めての作品でした。
音楽と工業用製品やスイッチとかそういう機械系を混ぜたものというと、どうしても明和電機を思い浮かべてしまうのですが、それとの違いはもちろんあるんですが、何となく明和電機の方がもう一歩考えを進めてあるような気がしてしまってトータルの物としては明和電機の方がと思ってしまう部分が多かったですね。ただ、明和電機だと通常の製品が一般にも流通するという部分も考えに入ってるので多少違いはでてますし、電機という前提もないので、その分自由なものを作れるという面はありますが、現時点だともう一息と感じてしまいました。ただ、パフォーマンスとかみたら印象が変わったかもしれないし、ペインティングのようなものもあったので、そのあたりとのつながりも含めてどうなってくんだろう?っていう面白さもありますねぇ。
Tags:宇治野宗輝, 山本現代
GALLERY | No Comments »
「掌 10」展をラディウムレントゲンヴェルケに観に行きました。

今回はレントゲンヴェルケ20周年企画の掌という企画でした。WEBをみると今回のコンセプトが書かれていました。
東京日本橋の古美術商の名店、瀬津雅陶堂の創始者、故瀬津巌氏が芸術新潮誌上で長く連載され、後に美しい本となったエッセイ集「掌の美」(1996、新潮社、絶版)がこの展覧会「掌TANAGOKORO」の発想の発端です。
恐らくは世界で唯一手の上で美術作品を玩ぶ民族である我々日本人。その特別 な感覚を現代美術に投影し、作家の精神とコンセプトを凝縮しようとする試み、「掌(たなごころ)」展は、97年3月、青山レントゲンクンストラウムでスタートしました。その後レントゲンのスタンダードなグループ展として親しまれ、愈々10回目を迎えます。
今回は「掌」としては少々大きめですが、「レントゲン」の20周年にちなみ、20x20x20cm以内に封じ込められた作家のエネルギーをお楽しみ頂きます。
ということで、青山のスパイラルでやっていた「手練」とは違って、小さい作品を集めた作品展という感じですね。小作品ということで作品自体が面白くないということは特になくて小さいからこそ手の込んでいるようなものもあったと思います。そりゃこれで大きければスゴい良いよなぁっていうものもあったのですが、小さいということで良いことは価格が安いってことですね。ということで、買えそうな値段の物もあったので初めてアート作品を買うっていう人にも向いてる展示だともいえるような気がしました。20周年の記念イベントという感じはあまり強くなかったけど、大きさというところに絞ってるのは実は結構面白く感じました。
Tags:レントゲンヴェルケ
GALLERY | No Comments »
NAZE 「NAZE?」をフォイル・ギャラリーで観てきました。

写真撮り忘れてしまいました。ので、ちょっと昔の写真を載せておきます。まあ雰囲気ということで。基本的にはグラフティを作品にしている感じですね。その街のゴミなどを利用しつつそこにグラフティを書いていくというのが通常の感じのようです。グラフティ文化についてはそれほど詳しくはないのでよくわからない所もありますが、なかなかしっかりとしたグラフティだったと思います。スプレーとかでやるタイプではなくペンで書込んでくタイプのグラフティですね。
また、公開製作ということで、その場で製作もしていたので、何となくカオス*ラウンジ的なゴチャゴチャと製作途中のゴミとかあったり、服とか靴とかが脱ぎ捨ててあったり、という感じがなんかこういう感じはやってるのか?って思わせる感じもしました。まあカオス*ラウンジではないので、一人しかいないし、アートではないみたいなことを言うとかのコンセプトがある感じではなかったとは思うんですが。
Tags:FOIL GALLERY, NAZE
GALLERY | No Comments »
「ZIPANGU」展を日本橋髙島屋に観に行きました。

MIZUMA ART GALLERYの三潴さんがキュレーターとなって今回のジパング展は行われていて、三潴さんのコメントに以下のような一文がありました。
ジパング展は「日本の現代美術の魅力を世界に向けて発信する。日本人自身にもその魅力を再認識して欲しい」というメッセージを込めて企画されました。
日本独自の文化の中で世界に発進できるクオリティのモノ。そして、日本ということを根底に据えて世界を観ているモノを集めたような展示ということだと理解しました。そして、三潴さんのところでは結構観るタイプの作品群ともいえるかなと思いました。また一方で、去年のTokyo Designers Weekでやっていた「ジャラパゴス」展は、西洋の文脈とは違った文脈の中から飛び出して独自の進化をして、西洋でも日本のアートについて取り上げられているモノを紹介していたような気がします。ということで、ある部分共通する部分もありつつも今回はこれからよりいっそう活躍すると思う人達をチョイスしていたような気がします。
今回紹介されていた作家は31人で、それぞれ1〜3作品くらいの数を出して来ていたので、結構の数の作品があってみるのもなかなかボリュームがあって面白かったです。大きな作品もあったし、有名所も結構作品を出していて面白かったです。会田誠さんの大山椒魚は何度か観ているんですが、回数を重ねるほど会田さんの絵の上手さがわかります。山口晃さんは幅広い年齢の方から受け入れられている感じがしたし、鴻池朋子さんや束芋さん宮永愛子さんあたりの作品もありました。この辺の方の作品は何となくどこかで観たものが多かったですね。
そのほかにも、指江昌克さんの古いものの中から浮かび上がった歴史の遺物をMOONとした作品や、池田学さんのボールペンか何かで細かく細かく書込んだ作品、南条嘉毅さんの空間をつかいタッチの違う線を共存させている作品、龍門藍さんのそこにないモノを移動させることによってできる新たな風景の作品、森淳一さんのとにかく細かく彫り込まれている彫刻作品など、様々なタイプの好きな作品なんかがありました。そのほかにも色々なタイプの作品があって、共通のテーマがある見応えの十分の展覧会だったと思います。結構色々な年齢層の人が来てたからそのあたりも面白かったなー。
Tags:MIZUMA ART GALLERY, 日本橋髙島屋
GALLERY | No Comments »
「李禹煥と韓国の作家たち」をオペラシティ アートギャラリーで観てきました。
瀬戸内国際芸術祭で李禹煥さんを観てから、SCAI THE BATHHOUSEでも観たりと李禹煥さんの作品を観る機会が結構あったんですが、観る度に理解が深まっていくような気がしています。最初は安藤建築の中にあって、安藤建築の雰囲気にやられたてしまって、あまり良く観れてなかったんですが、安藤建築の空間やその存在感と作品の空間と存在感がリンクしているのに気がつかないで、存在感のない絵だなぁーなんて思ったりしていました。しかし、その次にSCAI THE BATHHOUSEで観た時は、ホワイトキューブ的な空間で観たせいで今度は安藤建築の中では気がつくことができなかった、その強烈な存在感に気がつきました。その空白の中にある色やタッチの存在感はもの凄いと感じれました。
そして今回は、SCAI THE BATHHOUSEで観たような力強い作品になるまでの軌跡を観れたような気がしました。最近の作品は白に近いような灰色で一つ、あるいはそれほど多くないタッチで空間を裂くような作品が多かったように思えましたが、そこにたどり着くまでには色々な手法を試していたという軌跡をある程度の数でみることが出来て面白かったです。色も灰色で無いものやグラデーションに近い複数の色も使っていました。
さらに、李禹煥に近い作品を作っている韓国の作家の展示も行っていて、それらもそれぞれナカナカ面白かったです。色という面からアクセスしている作品や、タッチだったりとその形状自体で勝負している作品もありました。また、複雑な作業はしていないがあらたな視覚表現を探しているようなものなど。李禹煥と併せて観れて良かったです。
また、Project Nはクサナギシンペイさんだったのですが、なかなか好きな感じでした。余白となる空間を生かしつつ、風景と思われる絵から幾何学的な部分を切り抜いたり、空気のような物を切り抜いたりというものを薄い絵の具でレイヤーとして重ね合わせて書くという手法はなかなか重しろいという感じがしました。これは、またそのうちどこかで観ることになりそうな予感がするなー。
李 禹煥
みすず書房
売り上げランキング: 624276
李 禹煥
みすず書房
売り上げランキング: 119034
Tags:オペラシティ アートギャラリー, クサナギシンペイ, 李禹煥
GALLERY | No Comments »